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税理士法人 むさしの会計

経営分析

財産明細(貸借対照表)
収益性は?安全性は?貸借対照表と損益計算書は、理解できましたか?
決算書を比べる
  • 損益計算書も貸借対照表も1つのものを見ているだけでは意味がありません。複数の決算書を比較してみましょう。
  • 自社の過去の決算書と比べましょう。
  • 他社の決算書と比べましょう。
決算書で、収益性と安全性を検討しましょう
  • 経営分析で会社の姿がさらによくわかる。
  • 決算書を読むとき、次の2つのことが大切です。
「損益計算書」からわかる!

【収益性】・会社がどれだけ儲かっているか

「貸借対照表」からわかる!

【安全性】・会社が将来も存続することができるか

収益性
収益性1 ROA(総資本経常利益率)
  • 収益性ROA(rate of Return On Asset)=総資本経常利益率
  • 総資本経常利益率とは、調達した資金を使って、どれだけの経常利益を得たかの率です。
(経常利益とは、会社の通常の活動で得た儲け)
(総資本とは、総資産(純資産+負債)のこと)
経常利益 ×100% =ROA(総資本経常利益率)
総資本
【他社比較
  A社   B社
経常利益
1,000
経常利益
3,000
総資本
5,000
総資本
20,000
1,000
×100%
3,000
×100%
5,000
20,000
  =20.00%   =15.00%
A社とB社を比較すると、A社の方が規模は小さくても、経営効率はよいということになります。
  • 総資本経常利益率は、高いほうがよい。
【自社比較
  (前々期)   (前期)   (当期)
経常利益 1,000 経常利益 3,000 経常利益 10,000
総資本 5,000 総資本 20,000 総資本 100,000
1,000 ×100% 3,000 ×100% 10,000 ×100%
5,000 20,000 100,000
  =20.00%   =15.00%   =10.00%
経常利益は前々期、前期、当期を比較すると3倍、3.3倍と伸びていますが、収益性ROA(総資本経常利益率)は半分に低下しています。
会社の規模(総資本)も経常利益も大きく伸ばしていますが、収益力は半減しました。
総資本の中には負債も含まれています。お金を投入(借入金)し、事業規模を20倍に伸ばしても、経営体質は低下したということになります。
  • 経営効率は、 利益だけでは計れない。
収益性ROA(総資本経常利益率)を上昇させるには
  • それでは収益性ROA(総資本経常利益率)をどうしたら上昇させることができるか考えます。
収益性ROA(総資本経常利益率)=
売上高 × 経常利益
総資本 売上高
 
売上高経常利益率 総資本回転率
に置き換えて分析します。
  • それぞれの分母と分子に売上高が来ました。算数的には経常利益÷総資本と同じ計算式となります。
  • これは、経常利益÷総資本=ROAの計算式を分解して細部の分析をするための計算式です。
  • 収益性ROA(総資本経常利益率)を上昇させるためには、この売上高経常利益率、または 、総資本回転率のどちらか(または、両方)を上昇させれば収益性ROA(総資本経常利益率)も上昇することになります。
  • 売上高経常利益率、総資本回転率を注視し、収益性ROAを高めることが重要となります。
収益性2 ROE(自己資本当期純利益率)
  • 収益性ROE(rate of Return On Equity)=自己資本当期純利益率(自己資本利益率)
  • 自己資本当期純利益率とは、自己資本を使ってどれだけの当期純利益を得たかの率です。
(当期純利益とは、 1年間で得た最終的な利益)
(自己資本とは、 純資産のうちの自己資本額)
当期純利益 ×100% =ROE(自己資本当期純利益率)
自己資本
  • 収益性ROA(総資本経常利益率)は、会社の総合的な力を見ます。
  • 収益性ROE(自己資本当期純利益率)は、株主から見た企業の収益性の指標です。
収益性3 売上高経常利益率
  • 売上高経常利益率とは、 売上に対して、 いくらの利益が上がっているのかの指標です。
経常利益 ×100% =売上高経常利益率
売上高
(ROAを構成する指標の1つにもなっている)
  • 売上が上がっても、利益が出なければ意味がありません。
  • 損益計算の3要素は、収益(売上)-費用(経費)=利益(経常利益)ですので、売上イコール利益ではありません。
  • 売上高経常利益率は、どれくらいあれば…?
  • 売上高経常利益率は高ければ高いほどよいのですが、そうはいきません。
  • 1つは、同業他社と比較しましょう。業界平均を上回っていればひとまず安心です。
  • 2つは、 自社の過去3~5期分を比較しましょう。過去の推移をみて検討しましょう。
  • 売上高経常利益率を上昇させるには?
  • 経常利益のしくみ(収益-費用=利益)を理解しましょう。
  • 今の費用で売上(収益)を伸ばすことができれば最高ですが、なかなか無理な話でしょう。
  • そこで次の4つの方法を考えます。
1. 売上原価を減らす
2. 販売費及び一般管理費を減らす
3. 営業外費用を減らす
4. 営業外収益を増やす
  • 注意することは…?
むやみに売上原価や経費を減らすのではなく、 しっかり自社に合った分析をし、個別・具体的に、何を・どの位減らすのか検討し、自社に合った経営改善をしていきましょう。営業外収益を増やすために「財テク」に手をだすのはオススメできません。
  • 売上高営業利益率も大切です
利益には、 経常利益のほかに売上総利益、営業利益、税引前当期純利益、当期純利益と合わせて5つの利益があります。
営業利益 ×100% =売上高営業利益率
売上高
(本業の利益率がわかります。)
売上総利益 ×100% =売上高売上総利益率(粗利益率)
売上高
(商品・製品本体の売上利益率がわかります。)
売上原価 ×100% =売上高売上原価率
売上高
(売上総利益率の逆…売上原価の比率がわかります。)
(製造業では生産性率ともなりますので、売上原価の計算は重要です。 )
収益性4 総資本回転率
  • 総資本回転率とは、資産を有効に使っているかを示す指標です。
  • 総資本回転率では、1年間に総資本の何倍の売上をあげることができたかを表します。
  • 総資本回転率が高ければ高いほど、総資本を有効につかっていることになります。
売上高 ×100% =総資本回転率
総資本
  A社   B社
経常利益
10,000
経常利益
30,000
総資本
5,000
総資本
20,000
10,000
×100%
30,000
×100%
5,000
20,000
  =2.0回転   =0.6回転
(A社の方が、 総資本(設備や借入金など)を有効に使っている)
  • 総資本回転率を高めるには?
  • 売上高を増やす努力は当然ですが、無駄な資産はないか、資産を有効利用できていないかを分析し検討しましょう。
  • 当座資産の主なものは、現金・預金、受取手形、売掛金、有価証券などです。
  • 棚卸資産の主なものは、商品、製品、材料、仕掛品などです。
  • 立地条件等によっては、資産の売却、店舗の縮小、移転も検討課題となります。
  • 資本回転率には、他にもいろいろあります。
売上高 ×100% =流動資産回転率
流動資産
売上高 ×100% =固定資産回転率
固定資産
  • 総資本回転率を分析するにあたり、流動資産に問題があるのか、固定資産に問題があるのか検討しましょう。
  • 非効率な固定資産を売却し、総資本回転率を高めた事例は、大企業でも多数あります。
収益性5 売上債権回転率
  • 売上債権はしっかり回収できているか?
  • 売上代金が回収できなければ会社は回りません。売掛金や受取手形はちゃんと現金化されなければなりません。
  • 売上債権とは、売上代金を未だ現金化できず、受取る権利があるままのものです。
  • 無形固定資産の主なものは、ソフトウエア、電話加入権、特許権などです。
  • 投資その他の資産の主なものは、投資有価証券、関係会社株式、長期貸付金、長期前払費用などです。
売上高 ×100% =売上債権回転率
売上債権
  • 売上債権回転率は、 高ければ高いほどよいといわれています。
収益性6 棚卸資産回転率
  • 仕入れた商品はちゃんと売れていますか?
  • 仕入れた商品が売れていなければ利益を上げることはできません。売残りの在庫など、棚卸を常に行い売却に心がけてください。
売上高 ×100% =棚卸資産回転率
棚卸資産
  • 棚卸資産回転率が悪いということは、仕入れた商品や製造した製品が売れていないことを示します。
  • 在庫は少なすぎても売上のチャンスを逃します。常に監視していく必要があります。
  • 棚卸資産回転率は、業種により大きく違います。
収益性7 その他の分析
  • 収益性を検討する指標は、 その他にもいくつかあります。

一般管理費 ×100% =一般管理費比率
売上高
支払利息 ×100% =支払利息比率
売上高
給料・福利厚生費等 ×100% =人件費率
売上高
労務費・外注費等 ×100% =原価費比率
売上高
売上高 ×100% =1人当たり売上高
従業員数
安全性
安全性1 自己資本率
自己資本率とは、 総資本(=資産)に占める自己資本の割合を示す指標です。
返済の必要のない資金(自己資本)の割合で、 会社の安全性が見えます。
自己資本 ×100% 自己資本比率
総資本
  • 安全性の低い会社は、 倒産の可能性の高い会社です。
  • 安全性をはかる基本指標は、 支払い能力が高いかどうかです。
  • 自己資本が高いということは、 調達した資金のうち、 返済の必要のないものが多いということです。
  • 多額な借入金には注意しましょう。
安全性2 流動比率
流動比率とは、1年以内にお金にすることができる資産と、1年以内にお金を支払わなければならない負債との比率です。
流動資産 ×100% 流動比率
流動負債
  • 1年以内に返済すべき負債の資金の目処はたっていますか?
  • 1年以内に返済しなければならないのですから、 1年以内に現金化できる流動資産でまかなわなければなりません。
  • 流動比率は、高ければ高いほどよいとされ、200%あれば安心です。150%でまずまず、 100%を切ると危険といわれています。
  • 流動比率が100%を切ると、流動負債を返済するのに、 借入をしたり、資産を売却しなければならないことになります。
  • 流通業(スーパーなど)は、毎日売上が入ってきますから100%を下回っても資金繰りに大きな問題はありません。業界の特性を見て分析しましょう。
安全性3 固定比率
固定比率とは、固定資産が返済を要しない自己資本でどのくらいまかなわれているかの比率です。
固定資産 ×100% =固定比率
自己資本
  • 固定比率が100%以下であれば、固定資産の金額が自己資本でまかなわれていることになり安心です。
  • 固定資産を自己資本でまかなっている会社はほとんどありません。
  • そこで、より現実的な指標として、固定長期適合率をつかいましょう。
固定資産 ×100% =固定長期適合率
自己資本+固定負債
  • 分母に固定負債を含めてみます。
  • 固定資産を全額自己資本でまかなうことは無理でしょう。早期の返済の必要のない固定負債でまかなえればよしとします。
  • 固定長期適合率は、低いほど安全です。100%を超える場合は注意しましょう。
安全性4 その他の分析
安全性を検討する指標は、その他にもあります。
当座資産 ×100% 当座比率
流動負債
株価の分析
PER(Price earnings ratio)=株価収益率
株価 株価収益率(PER)
1株当たり純利益
  • 損益計算書を使った株価をみる指標。
PBR(Price book-value ratio)=株価純資産倍率
株価 株価純資産倍率(PBR)
1株当たり純資産
  • 貸借対照表を使った株価をみる指標。
経営分析はどうでしたか?数字はウソをつきません。